子どもの視力の発達について
- 子どもの視力の発達についての解説動画はこちら
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子どもの視力発達で大切なこと
- 視力発達のためには「見る」経験が必要不可欠です。
- 視力が発達する時期に見えない状態が続くと弱視になることがあります。
- 斜視・近視・遠視・乱視は、弱視の原因にもなります。
- 弱視は発達の感受性の強い時期に治療すれば改善が期待できます。
- 子どもは自分で気づけないため、保護者の方の気付きが大切です。
生まれたばかりの赤ちゃんは、光を感じることはできますが、実は目はよく見えていません。生後3〜4ヶ月程度で、両目で対象を認識し、立体として把握する能力が発達します。そして、5歳頃までに視力が1.0近くまでになります。
子どもの視力の発達には、「見る」という経験がとても大切です。いろいろな物を見ることで、視力が発達していきます。
そのため、眼に何らかの異常があり、視力の発達の過程で「見る」という経験が十分にできない状態が続くと視力の発達に影響します。視力の発達には、発達の感受性というものがあり、生後18ヶ月をピークに10歳頃までにほぼなくなります。この感受性がある時期に、眼の異常ではっきりと見えない状態が続くと視力が向上しない可能性があります。
子どもが幼いうちに眼の手術やメガネによる矯正をするのはかわいそうと思われる保護者の方は多いですが、「見える」状態にすることは、お子さんの成長のためには必要なことです。ご不明な点やご不安なことがありましたら、お気軽に当院にご相談ください。
お子さんにこんな様子はありませんか?
お子さんの普段の様子で、このような行動をよくしている場合、眼に何らかの異常がある可能性があります。
子どもの順応力はとても高いため、「見えない」環境にもすぐに順応しようとします。お子さんが自ら「見えない」と訴えることは難しいため、保護者の方の気付きが大切です。気になる様子がありましたら、一度、医師にご相談ください。
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片目をよくつぶる
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目つきが悪い
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見る距離が近い
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頭を傾けて見る
ほかにも
- 目が合わない
- 目が揺れる
- 片目を隠すと嫌がる など
気をつけたい子どもの眼の異常
子どもの視力の発達のために、気をつけたい眼の異常についてご説明します。
弱視
弱視とは、視力が発達する時期に、 何らかの原因で視覚刺激を受けられず視力の発達が十分ではない状態のことをいいます。
弱視の原因は以下のとおりです。
- 網膜に光を通しにくい
- 眼の病気が原因で、網膜に刺激が十分に入らない状態です。生まれつきまぶたが下がっている眼瞼下垂や黒目の部分が濁る角膜混濁、白内障などが原因になります。
- 片方の目の位置がズレている
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斜視により使われない方の目の視力が発達せず、弱視になります。
斜視について詳しくはこちら - 網膜にピントが合っていない
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近視・遠視・乱視などでピントが合わず、常によく見えてない状態であるために、視力が発達せず弱視になります。
- 左右の目の屈折度数に大きな差
- 左右の目で近視・遠視・乱視などの程度が大きく異なり、片方の目しか使われないために視力が発達せず、弱視になります。
弱視の治療
弱視の治療は、視力発達の感受性が強い時期ほど効果が期待できます。感受性は10歳頃までにほぼなくなると言われているため、なるべく早く適切な治療を受けましょう。眼の病気が原因になっている場合は、手術が必要になることがあります。
- メガネで視力を矯正する
- 近視・遠視・乱視などがある場合は、いつもメガネをかけておくようにします。 鮮明な像が結ばれる状態にしておくことで視力の発達を促します。
- 視力の悪い方の目を使う訓練をする
- 視力の良い方の目を隠して、普段使ってない方の目で見るように促す訓練です。
斜視
斜視とは、物を見ようとするときに、 片目が違う方向を向いてしまっている状態をいいます。 ズレている方の目が使われないために視力が発達せず、弱視になりやすくなります。
内斜視
外斜視
上斜視
下斜視
斜視の原因は以下のとおりです。
- 目を動かす筋肉や神経の異常
- 遠視によるもの
- 眼の病気によるもの
- 脳の病気によるもの
- 全身の病気に伴うもの
など
斜視の治療では、手術を行う場合があります。
(遠視による斜視は、メガネによる視力矯正で改善する場合があります。)
近視
遠くを見る時に、本来、網膜で合うはずのピントが網膜の手前で合ってしまうのが近視です。
ピントが網膜で合わないため、近くはよく見えますが、遠くにあるものがぼやけて見える状態になります。
屈折性近視のピント
- 屈折性近視
- 角膜と水晶体の屈折力が強すぎるために、ピントが合いません。近視のほとんどは屈折性近視で、小学校高学年くらいから始まることが多いといわれています。
- 軸性近視
- 眼球が前後に長くなるために起こる近視です。遺伝的要素が強く、日本人の6~8%にみられます。このタイプの近視は、屈折性近視と異なり、大人になっても進行します。
遠視
本来、網膜で合うはずのピントが網膜の向こう側で合ってしまうのが遠視です。
近くを見るときに正常な眼より調節力を働かせる必要があり、見えにくかったり、見えても長続きしない場合があります。また、遠視は、遠くはよく見えると思われがちですが、見え方には個人差があります。遠くも見えづらい場合もあります。
遠視のピント
子どもの遠視
遠視は、ピントを合わせるために絶えず眼の調節力を働かせる必要があるため、目や身体が疲れやすくなります。お絵かきや学習など、手元を見る作業に集中できない、長時間続けられないこともあります。集中力が持続しないことは目が問題になっている可能性もあります。
乱視
外から入ってきた光は、本来、網膜でピントが合い1つの像を結びます。乱視は、角膜や水晶体の歪みにより、ピントが複数にぼやけて見える状態です。
乱視のピント
- 正乱視
- 角膜や水晶体の歪みによる乱視です。通常、自然なカーブですが、誰でも多少の歪みはあります。その歪みの程度によって乱視の症状を自覚します。
- 不正乱視
- 外傷、眼の病気や手術が原因となって角膜表面に凸凹が生じることで乱視になります。
不正乱視はメガネやコンタクトレンズで完全に矯正するのは難しいといわれています。